澄みわたれ!
負けられない勝負ってあるじゃない
そんな勝負に、今から立ち向かうんだよなぁ
トゥーランドットの楽譜が配られて、数日が経ったある日だ
「一緒に帰んねぇ?」
見上げたらそこには泉 蒼がいた
「、、、いいよ」
なんだか、久しぶりに一緒に帰る気がして、喉の奥がむずがゆかった。
「一緒に帰るなんて、小学校以来だよなー」
「それめっちゃ思った」
蒼の声はなんだかワントーン低くなったかななんて感じた
背も抜かれて今じゃ頭1個分くらい違う
成長したな、なんて、おかしいか。
当の私といえば、身長は150後半で止まっており、胸の膨らみが大きくなったかな、くらいである。
どうせなら、60いきたかったなんて、今更なんだけれども
「練習、どう?」
「うん、順調。そうは?」
「俺は序盤のピッチに苦労w」
「そりゃまた」
顔を合わせてフッと笑う
こんな日常も、なんだか宝物のように感じた。
「あと、半年、か」
「だな。県大会、抜けような」
「うん。決まってる」
「四国行って、金とって、全国行かな」
去年は四国はダメ金だった
リベンジ、するんだ。
「あーあ、課題曲、早く配られないかな」
「そればっかしはなーw」
冗談めかして笑う
なんだかキラキラしているなって思った