澄みわたれ!
軽やかに、ピッコロ。(メゾフォルテに時々フォルテッシモ)
夜があけて

部活に行く時間になった。

まだまだ寒い。

1月の冬だ。

少し緊張しながら、学校へ向かった。

部活へ向かうと蒼が居た

口パクで泉 蒼が

《だ、い、じょ、う、ぶ?》

なんて聞くから不覚にもドキッとしてしまった

《う、ん。あ、り、が、と、う!》

少し照れてしまう

最近、蒼に対しておかしいな、そんな気がした。


さてさて。

待っておられたかピッコロちゃん。

待ってて、必ず私が吹くからっ!




部活の部屋に向かうと、私は驚きました。

いや、もう、なんてそのな感じ?え、もうなんだか分かんない

とにかく〝聞いて〟呆れるって感じで



西山 静香先輩は、ピッコロ、チョー絶下手だったのです。

音はカスカス、、、

高音出てないし、音程も合ってないんじゃ、、、

ヤバイ。

これは、余裕だ。

でも、それにかまけちゃ、ダメだから

私も必死に練習した。

連符は丁寧に

リズムは、しっかり読んで

音程(ピッチ)は合ってる?

細かく、細かく楽譜通りに。

オーディションに、受かるように。

ここで、負けていられない。

トゥーランドットは流石に難しかった。

まだ連符は出来ていない。

まずゆっくりから。

タッカのリズムに変えて吹いたり、逆にしたり

テンポは60くらいからして、段々早くする。

段々出来てくる。

それがとても気持ちいいのだ。

出来た瞬間の、あの嬉しさより上の感情を、私は知らない。

指が回る。

さっきまで動かなかったのに。

まるでオイルを刺したかのよう。

滑らかに滑る指を横目に、段々出来てくるトゥーランドットに親しみを感じた。

< 6 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop