【短編】彼氏はきみだけ。
一方的なキスなんて、したくない。わたしの意見も聞いて───。
由惟は「フラれるなら訊かない」と、ぷいっと横を向いてしまう。
「由惟が、好き」
「……え?」
「ずっと、わたしは由惟だけだよ……」
「え、ええ!?」
さっきまでの迫力と威圧が嘘みたいに、驚いてわたしから距離をとった由惟は、その答えしか訊かないと言っていたくせに、「嘘つかないでよっ」とひと言。
バカだなあ、わたしが嘘つくはずないのに。
「好きだよ。あと何回言えば、信じてくれるの? それとも、さっきのは嘘なの?」
「ほ、ほんとです! ただ、俺のこと好きだとは思わなくて……」
ごにょごにょと言葉を濁す幼馴染に、わたしは「ばーか」と返す。