【短編】彼氏はきみだけ。
もう、由惟なんて知らないよ。
そう思っていた反面、由惟は優しいから謝ってくれるんだろうなあとも予測していたから、焦ってなかった。
ただ、いつもと様子が違う由惟に、戸惑ってはいたんだけど……。
でも、嬉しいよ。
ユカの言うとおり、ヤキモチだったことが誇らしいの。
「由惟」
「……なに?」
「彼氏になってほしいな」
「……! それ、俺が言いたかった!」
「え、由惟の彼氏にはならないよ?」
照れ隠しに言うと、由惟はぷっくり頬を膨らませてから、改めて向き直った。
「あの、あのね。怒って、無視してごめんね。最初からそう言えばよかったね」
ねえ。
「不器用な俺だけど、それでもなっちゃんが世界一好きだよ」