【短編】彼氏はきみだけ。
由惟が怒る理由がわからない。
「今日は男の子に呼び出されてたから。ちょっと家を早く出たんだ」
「……告白?」
「まあ、そんな感じ」
昨日帰るとき、ノートの切れ端みたいなのがローファーの上に置かれていて、そこには
【明日の朝、7時に2年5組に来てください。松下】
と、たった1文だけの紙が入っていて。
由惟に言うことでもないなと思い、言わなかっただけ。
もちろん断ったし、松下くんともそれきり───クラスも違うし。