【短編】彼氏はきみだけ。
「由惟?」
「なっちゃん酷い」
「え?」
突然仮面のように無表情になって、さっさと自分の席へ向かってしまう由惟。
ぶすっとした顔のまま、席で突っ伏した由惟に、クラスメイトたちはわらわらと集まってきて、
「なんだよ由惟〜、朝から機嫌わりーのか?」
「由惟くーん、今日のバスケ部見学行ってもいいー?」
「返事しろよー、由惟」
いつもにこやかに対応する由惟が、みんなを無視していることなんて初めてで、わたしはもちろんみんなが混乱してきていた。