春だから…恋。

「……俺が本社に行っても、俺を忘れないでいてくれるか?」


「はい…」とだけ、小さく頷く。

「……そうか。……俺も、おまえを忘れないからな…」

そんな言葉を急に吐かれて、どう応えていいのかもわからないまま、こらえていた涙がこぼれ出る。

「……ああ、泣くな。泣かせるつもりで、言ったんじゃないから」

課長の指が、涙の流れた頬に触れる。




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