春だから…恋。

「あっ…課長、どうして……」

呼び出された意味もわからなかったけれど、急に頬に触れられた理由もわからなかった。

「……うん? なんだ気づいてなかったのか……」

課長がふっと息を吐いて、吸っていた煙草の銘柄がわずかに香る。

片腕に花束を抱き直して、

「俺を忘れないでいろ……つまり、好きでいろってことだよ……」

そう口にするのに、

「…えっ?」

と、聞き返す。



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