スイーツ王子と恋するレシピ
シカオ・シブヤはシャルロットから徒歩5分くらいの場所にあった。
入り組んだ場所にひっそりと立つ2階建てのこじんまりとしたシャルロットとは違って、シカオ・シブヤは賑やかな表通りにどどんと建つ10階建てのビル。
店の前には多くの女の子たちが並んでいた。
「す、すごい人気ですね」
「こんなのは最初だけだ」
恵斗さんはオーナーを二人で、地道にケーキを作って売ってきた。今でこそシャルロットはほとんどの日が完売するけれど、人気が定着するまでは売れない時期もあって、それはそれは大変だったのだ。
そんな苦労も知っている。だから、派手な宣伝で売り出そうとするシカオ・シブヤは好きじゃない。
それに、それに…
恵斗さんとわたしが考案したケーキを盗むなんて、本当に許せない。
「申し訳ございません。悪魔のショコラロールケーキは売り切れです。他の商品も完売いたしました」
黒ずくめの制服を着た店員の女性が、行列の女の子たちに言った。
「えー、そんなぁ」
「せっかく遠くから買いに来たのに」
「あっ! 見て! オーナーの渋谷シカオ様じゃない!?」
辺りがざわめいた。
渋谷シカオが現れたのだ。
「皆様わざわざ足を運んでくださったのに申し訳ありません。ぜひ、またの機会に…おや?」
シカオはわたしたちに気がつき、
「これはこれは。シャルロットのお二人さん。うちのケーキを買いにきてくださったんですか?」
と、言いニヤリと笑った。
入り組んだ場所にひっそりと立つ2階建てのこじんまりとしたシャルロットとは違って、シカオ・シブヤは賑やかな表通りにどどんと建つ10階建てのビル。
店の前には多くの女の子たちが並んでいた。
「す、すごい人気ですね」
「こんなのは最初だけだ」
恵斗さんはオーナーを二人で、地道にケーキを作って売ってきた。今でこそシャルロットはほとんどの日が完売するけれど、人気が定着するまでは売れない時期もあって、それはそれは大変だったのだ。
そんな苦労も知っている。だから、派手な宣伝で売り出そうとするシカオ・シブヤは好きじゃない。
それに、それに…
恵斗さんとわたしが考案したケーキを盗むなんて、本当に許せない。
「申し訳ございません。悪魔のショコラロールケーキは売り切れです。他の商品も完売いたしました」
黒ずくめの制服を着た店員の女性が、行列の女の子たちに言った。
「えー、そんなぁ」
「せっかく遠くから買いに来たのに」
「あっ! 見て! オーナーの渋谷シカオ様じゃない!?」
辺りがざわめいた。
渋谷シカオが現れたのだ。
「皆様わざわざ足を運んでくださったのに申し訳ありません。ぜひ、またの機会に…おや?」
シカオはわたしたちに気がつき、
「これはこれは。シャルロットのお二人さん。うちのケーキを買いにきてくださったんですか?」
と、言いニヤリと笑った。