スイーツ王子と恋するレシピ
「恵斗さん」

 わたしはさっきまでの甘いとろけそうな気持をふりはらうように、背筋を伸ばし、自分をキリッとさせて言った。

「わたしのこと、どういう風に好きなんですか。はっきり言ってください」

「ココ…」

 わたしが強気なことに意外だったようで、恵斗さんは一瞬、目を丸くした。
 でも、すぐに真面目な顔になり、真っ直ぐわたしを見つめ、言った。

「中途半端な気持ちじゃない。本当に好きだよ。大切に思う」

「それから?」

「それから…。とにかくオレのそばにいてほしい。オレにはココが必要なんだ」

「どうしてですか?」

「どうしてって…。ココ、意外と厳しいな」

「はい。流されてお付き合いするわけにはいかないので」

「まいったな。でも、そういうところも好きだよ。さすがオレのココ」

 そう言って恵斗さんはふわりとわたしを抱きしめた。

 あーん、もう! せっかく流されないように踏ん張ってたのに! 
 恵斗さんの体温が伝わる。
 わたしも恵斗さんが好き。好きすぎて溶けちゃいそう。

「好きだよ、ココ。ずっとオレとシャルロットを支えてくれよな」

「はい…。でも」

「なんだ?」

「わたしもパティシエを目指してること、忘れないでくださいね。もしかしたら将来、恵斗さんのライバルになるかもしれませんよ」

「ん、そうだな。みんなが幸せになれるケーキをたくさん作れるように、お互いにがんばろう!」

 
 そして

 わたしと恵斗さんの甘い関係は

 まだまだ続く…


(第2部 おわり)
 
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