スイーツ王子と恋するレシピ
もうそろそろ許してあげようかなぁ。

 そう思った矢先の出来事。

「ジュースのおかわりはいかがですか」

 そう言ってわたしたちの席にやってきたCAさん。
 毛布の隙間からチラリと見ると、めっちゃ美人! それにスリム!
 CAさんなんだし、当然だよね。だけど、ただ美人なだけじゃない。
 ものすごく柔らかい笑顔、優しい声。女のわたしでも惚れちゃいそうなくらい素敵な人。

「ありがとうございます」
 恵斗さんがそう言ってジュースを受け取った。すると

「フフ、先ほどはどうも」
 美人CAさんがそう言って恵斗さんに微笑むではないか!

 え? 何? わたしの知らない間に仲良くなったの?
 さらに
「隣の方が、おっしゃってた彼女さんですね」

 え? やだ! わたしのこと何か言ったの?

 わたしは寝たふりを続けた。

「はい。もう、食うことばっか好きだから」
 
 え? なに? なにを言うの? 恵斗さん…

「こんなにコロコロ太っちまって」

 がーーーーん!!!

 ひ、ひどいぃ!! そりゃあんなスリムなCAさんを比べたら、わたしはいつまでもブタブタコブタだけど!!

 ダイエットしようと何度も考えたけど、恵斗さんのケーキの試食を毎日のように続けてる。
 どうやって痩せろというの?

 わたしは怒りと悲しみのまま国境を越えた。
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