スイーツ王子と恋するレシピ
「なんや、真っ青な顔してどないしたんや」

「え、ええーと…。お財布が…」

「もしや、スリにやられたんとちゃうか」

「す、スリ!?」

「あーあ、日本人に多いんや。無防備やさかいな」

 あーん、もう、どうしてせっかくのパリ旅行だっていうのに、次から次へとハプニングが!

「つまり、文無しいうことやな。無銭飲食や」

「うっ!!」

「しゃーないな。そんならカラダで払ってもらおか」

「か、カラダで、って!!」

 レオはペロリと舌なめずりをしてこちらを見た。

 ああーん、恵斗さん!! 助けて!! キスだけじゃ済まされないかも!?

 わたしはへなへなとその場に座り込んだ。

「何してるんや、はよ、来い」

「え?」

 気が付くとレオは部屋を出て1階に向かおうとしていた。

「どこに?」

「決まってるやろ。店や。食うた分はきっちり働いて返してもらうさかいに」

 な、なんだ。そういうことね。ホッ。
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