スイーツ王子と恋するレシピ
「あ、エッフェル塔!」

 他の乗船客たちからも歓声が上がる。
 記念撮影する人も。

 今、わたしたちは世界中で一番ロマンチックな場所にいる。

「ココ」

「ん?」

 恵斗さんの方を振り向くと、その瞬間、キスをされた。

 一瞬だけの、かわいいキス。

 どきん どきん どきん

「そういえば、ココ…」

 どきん どき… ん?

「レオに何もされてないだろうな」

 …ん? んんーと…

 わたしはレオに結構ディープなキスをされてしまったことを思いだした。

「あ、う、うん、でも、同意じゃなかったし」

「何ぃ?」

「たいしたこと…」

「まさかキスされたのか!」

 わたしは真っ赤になってしまいブンブンと首を横に振ったが、嘘はつけなかった。

「くそう、あの野郎!」

 恵斗さんは勢いよく立ち上がった。

「あ、危ない、危ない! 恵斗さん、落ち着いて!」

 わたしは恵斗さんをなだめるように腕に手をまわした。

「よし、じゃあ…」

「なに?」

「今夜、覚悟しとけよ」

 恵斗さんはそう囁いた。

 もう! 恵斗さんたら! 結局それが言いたかったの?

 真っ赤になるわたしをからかうように笑う恵斗さん。

 
 大好き。大好き。大好き。
 
 大好きよ、恵斗さん。ずっといっしょにいてね。


 夕暮れ時のセーヌ川は一段と美しかった。
 




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