召喚魔法失敗しました!?
何度か髪を撫でるとその手が止まる。
『人間界など未知の世界だった。逃亡した奴を見つけるのはなかなかに途方の暮れることで困難な任務だった。見つけたと思えばかなりの魔力の保持者で手こずった。なんとか魔法陣で魔界へ送り届けたが、俺は人間界で力を尽きた』
「……それで、ウィリーはどうしてしまったの?」
『もうダメだと思った。魔力もまともになく傷まみれだったからな。そんな時、俺に怯えることもなく真っ直ぐな瞳で俺を看病してくれた少女と出会った。だが、人間と関わりを持つなど絶対あってはならないことだった』
確かに他種族同士でも戦争が起こるというのに、違う世界を跨いで戦争になってしまったら恐ろしいことになる。
そうならないためにも関係は最小限にしなければならないと、教わったこともある。
『少しの時間だけ、俺はその少女と同じ時間を過ごした。とても幸せで、感じたことのない感情を味わった。しかし、傷が癒えて戻ることを決めた』
抱きしめていた腕を緩めて、私の顔をそっと見た。