召喚魔法失敗しました!?
そんな男の子の顔をじーっと観察していると、私の視線に気づいてか少し慌て始めた。
「あ、ごめん!急に声かけておいて自己紹介してなかったね」
「う、うん」
「週明けにここに引っ越してくることになったリック・ブラウツです」
そう名乗ると右手をくいっと差し出してくる。
……これは名を名乗らなきゃなのか。
「リーシェ・クロウ……です」
そう小さく呟き差し出された右手を握り返す。
こういう慣れないことに、戸惑うのを何とか誤魔化す。
「よろしく」
「よ、よろしくお願いします」
初めてのことじゃないのに、なんかもの凄くドキドキしてる……
そっと離した手が微かに熱を帯びる。
その手を隠すように膝と膝の間に挟んだ。