【短編】それでもあなたが好きです。


わたしが見えなくなるまで手を振ってくれた彼は、そのあとすぐにメッセージをくれた。


【頑張れよ、無理すんな】


ただそのひと言が、嬉しくて。



今日も頑張れる気がした───けれど、いい日になるというのは、思い込みだった。






学校終わり、昨日琥珀くんに告白した駅に降りて、やっぱり別の車両から彼が出てきて、声をかけようとした瞬間。


「え……」



琥珀くんの腕に、ぎゅっとしがみついている背の高い美人な女のひと。


茶色の長髪を揺らして、白いニットを着ている、可愛いというより綺麗という言葉の似合う女の、ひと。


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