【短編】それでもあなたが好きです。
わたしが見えなくなるまで手を振ってくれた彼は、そのあとすぐにメッセージをくれた。
【頑張れよ、無理すんな】
ただそのひと言が、嬉しくて。
今日も頑張れる気がした───けれど、いい日になるというのは、思い込みだった。
◆
学校終わり、昨日琥珀くんに告白した駅に降りて、やっぱり別の車両から彼が出てきて、声をかけようとした瞬間。
「え……」
琥珀くんの腕に、ぎゅっとしがみついている背の高い美人な女のひと。
茶色の長髪を揺らして、白いニットを着ている、可愛いというより綺麗という言葉の似合う女の、ひと。