【短編】それでもあなたが好きです。


「一椛……っ、待てよ、なんで逃げるんだよ」


「嫌! もう別れるっ!」


「はあ? ちょ、一椛……!」



必死で涙がバレないように意識して、掴まれた手を振り払って、改札を抜けて、家へ帰った。



散々だ。


今日は寝不足で授業中に寝てしまい、さらにそれで反省文を書かされて、会ったばかりだけど大好きな彼に、───裏切られた。



わたしはどこまで、惨めなの。


バカ、バカ、バカ───!!



「おかえり一椛……って、どうしたの!?」


「ほっといて!!」



誰にもわからないよ、付き合って2日目に恐れていたことが起きるなんて。


所詮わたしは、そういう女なんでしょ。


< 17 / 30 >

この作品をシェア

pagetop