【短編】それでもあなたが好きです。
「一椛……っ、待てよ、なんで逃げるんだよ」
「嫌! もう別れるっ!」
「はあ? ちょ、一椛……!」
必死で涙がバレないように意識して、掴まれた手を振り払って、改札を抜けて、家へ帰った。
散々だ。
今日は寝不足で授業中に寝てしまい、さらにそれで反省文を書かされて、会ったばかりだけど大好きな彼に、───裏切られた。
わたしはどこまで、惨めなの。
バカ、バカ、バカ───!!
「おかえり一椛……って、どうしたの!?」
「ほっといて!!」
誰にもわからないよ、付き合って2日目に恐れていたことが起きるなんて。
所詮わたしは、そういう女なんでしょ。