【短編】それでもあなたが好きです。
ああ、わたしはだめ男に引っかかるタイプだったんだね。
こんなわたしが一番、サイテー。
「……はあ……っ」
辛い、苦しい、いなくなりたい。
───下でチャイムが鳴って、お母さんが「え、えっと……どちらさま?」と慌てた声が聞こえた。
そして、今一番逢いたくないひとが、ノックもせずに、わたしの部屋へ入ってきた。
「一椛」
「………帰ってよ」
「帰らねえよ。別れたいって言葉、取り消せ」
「嫌です」