【短編】それでもあなたが好きです。


そこだけはよくこだわる琥珀くんに、わたしはドキドキした。


「琥珀くん……」


「ん?」


「取り消す、わたし琥珀くんと付き合いたい」


「……ん」



ぎゅっと抱き寄せられて、わたしはそっと背中に手を回した。


好き、ただその一心だった。



「俺も好きだよ。一椛が離れたくても、離れてやらない」


「ふふ、わたしも」



ベッドの端っこで、壁の角でさらに強く抱きしめられて、わたしの顔が赤面したのがわかった。



「……ねえ」


「なに?」


「俺、別れたいって言われて、傷ついたからさ。キスしていい?」


「……っ」



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