【短編】それでもあなたが好きです。
よろしくお願いします、だと恋愛に馴れてないの丸わかりだし、かと言って突然、名前教えてください、も失礼な気がして。
友だちじゃない男の子に、自分から連絡をとるなんて、そんな大胆なことしたことないから、送れなかった。
いや、会って数秒のひとに告白しただけでも、大胆なんだけど!
「……琥珀くんから、連絡来ないかな」
ベッドの中に入っても、なかなか寝つけないなんてこと、生まれて初めてでなんだかそわそわした。
それでも結局、いつもより遅い時間に睡魔が襲ってきたわけだけど……。
───ブーブーブー。
まだ辺りが真っ暗な時間帯に、机の上のスマホが震えて、目が覚めた。
こんな時間に、誰? と思いながら、まだ開かない目で、手に取ったスマホの画面を確認してみれば。
【琥珀 からメッセージが届きました】
とふたつも表記されていた。
つまり、琥珀くんがわたしに2回メッセージを送ってきたということ。
時刻は夜中の0時17分を示していた。
【今仕事終わった】
【お前からなにか入ってんかと思って、ちょっと期待してたら、なんもねーからガッカリ】
【訊きたいこととか、ねーの】
見た瞬間、もうひとつ文が送られてきて、わたしは目を輝かせた。
琥珀くんが、わたしからのメッセージを待っていてくれた。ただそれだけが嬉しくて、ベッドの上で二、三度跳ねてしまう。