【短編】それでもあなたが好きです。
いろんなことが、今さらこわくなって、それでも琥珀くんの優しさが好き。
それは、中学生のときに感じた“彼”の優しさに似ているからなのかな……。
ううん、でもわたしはちゃんと、あのときの“彼”じゃなくて、琥珀くんを見ているし、本当に好きなんだよ。
だから、別れたくない。
でも、琥珀くんが別れたいと言ったら、速攻別れよう。琥珀くんの自由だ。
◆
「昨日の夜、騒がしかったけど、なんかあった?」
制服に着替えて、お母さんにおはようと言うなりそんなことを訊かれて、わたしは動揺を隠すのに必死だった。