貴方が手をつないでくれるなら
がっつりしがみついて来た。…はぁ。逃げる日向の腰を抱いた。
「…日向、恐いのは解る。大丈夫だ、身体の力を少し抜いてくれないか?」
ん゙ん…。日向の苦しそうな声と息遣いを口の中で感じた。
「…もう少しだ」
こんな…説明しながらなんて、した事無かったな…。もう少しで…全部だ。
…ぁっ。声にならない声をあげ日向がしがみついて来た。日向をきつく抱きしめた。少しでも抱きしめる痛みの方に痛みが変わればと思った。
「…入った。このまま…少し…このままで居るから」
「柏木さん…」
日向が少し力を緩めて俺を抱いた。…熱い。堪らない。
…はぁ、日向…愛おしい。…日向。離したくない。ぎゅうっと抱きしめた。
「…大丈夫か?」
頭にキスをして唇を食んだ。
「……ぁ、駄目…変…」
ん。ギュッときつく抱き着いて日向の身体の力が抜けていく。身体の芯が脈打つ…。あぁ…。日向を抱きしめた。…日向、イッたのか。
「柏木さん…」
「…日向」
日向…瞳が潤んでいる。切ない顔をして俺の身体をギューッと抱いた…。熱い息が洩れる。…あぁ…堪らない。日向の唇、何もかも堪らなく愛おしくて、零れた涙を拭いながら唇を奪い続けた。
「はぁ…日向…少し動くぞ?」
こくんと腕の中で頷いた。それからの俺は、ただ夢中だった。夢中で日向を抱いた。少し休んで、また…日向に溺れた。
冷蔵庫から水を取り出して来た。
後ろから抱えるようにして日向を座らせた。日向は俺にもたれるように身を預けた。身体が熱い…。
欲しいだけ飲んで欲しくて、キャップを開け、渡し、先に飲ませた。
堪能出来たのか途中まで飲んだペットボトルを渡され、俺が残りを飲んだ。
…最後の一口。日向の顔を向けさせ口移しで飲ませた。…こんな事、した事無かったな。
ゴクンと飲んだと同時に、欲しくて俺は日向に深く口づけた。水が少し首を伝った。細いその首に触れた。
ん…離れる日向の顔が可愛くて堪らない。腕を回して抱きしめた。
「…日向、後悔は無いか?」
「ありませんよ?…いいですって、言いましたよ?」
…そうなんだけどな。強引だったんじゃないかって、はぁ、またちょっと弱気が顔を覗かせたんだ。回した俺の手に手を重ね、握りしめると日向は胸に抱いた。…はぁ。
「…そうか」
言いながらドキドキした。…こんな可愛い仕草、なんて事を…。
「…日向?寝ようか」
「はい。これ、貸してくださいね?」
日向が腕を伸ばして脱ぎっぱなしのシャツを手に取り言った。裏返しになったままの俺のシャツをひっくり返し、前後を確認していた。
「貸して?」
後ろからそれを取り上げ、日向の頭に被せた。
「わっ」
首が出た。
「ハハハ。腕、入れるぞ?」
一気に引き下げたシャツ。裾から手を入れた。右腕を掴み袖に通す。左腕も同じようにシャツの中に手を入れ通した。
「はい、終了!」
「フフ…何だか恥ずかしい…」
日向がゆっくり身を預けて来た。抱きしめて少しずつ身体をずらして横になった。
日向は俺の腕の中に。背中に腕を回し、抱きしめ頭にキスをした。
片腕で抱いたまま頭を撫でていた。スーッ、スーッと寝息が聞こえて来た。
日向…。ずっと大事にする。…もう何も聞かない。守るから。日向とのつき合いに、いつか終わりが来る事になっても、俺は忘れない。
無防備に眠っている日向の瞼を唇で触れた。