貴方が手をつないでくれるなら
このところ、警察車両をよく見掛ける。パトカーが巡回しているところもよく見る。
個人宅だけど、かなりの大金が盗まれて、主は殺害されたって事件。まだ、犯人は捕まってない。
「日向、昼間でもどこに悪い奴が潜んで居るか解らないから、暫くは昼に出掛けるのはよせよ?」
「うん、解ってる…」
はぁ、これで私も行かないから、益々会う事から遠退いてしまう…。行けなくなってる事、せめて連絡くらいはしておかないと。
【ごめんなさい。強盗殺人事件がありましたよね?危ないから、出掛けては駄目だと止められています。多分、事件が解決するまではベンチに行く事は無理だと思います。ごめんなさい】
【丁度こちらからも、危ないので外出は控えてくださいと、連絡しようと思っていたところでした。謝らなくて大丈夫です。安全第一です。不必要な外出や、夜の外出は極力避けてください。こちらも早期解決に努めます。戸締まりもしっかりしてください。柏木】
【柏木さんも、それから町田さんも、安全第一ですよ?くれぐれも気をつけてください】
…はぁ。
「町田、安全第一、気をつけてくださいってさ」
「あ?…へぇ、すっかりメル友だな」
「お前にも言ってる事だ、ほら」
「…あ、本当だ。しかし、なんだな。こうして、このベンチで昼食ってるっていうのに…。つくづくタイミングが悪いな」
「仕方ないだろ。事件を起こした犯人を恨めよ」
「それは俺よりお前だろ~?本当なら今日は金曜だから、お前の横は俺じゃなくて、眞壁日向さんだったかも知れないのにな?」
かも知れないけど。
「言っても仕方ないだろ」
「まあな。毎回こうして俺らが居るなら、何かあっても何とか守れるだろうけど。お前も来るか解らない状況では、もしもがあった時、恐いよな、危な過ぎる。今は来なくて正解だ」
「はぁ、焦っても仕方ないけど、早く捕まえないとな。誰もが安心して眠る事も出来ない。長引くと警察は何してるんだって言われるしな」
「ん…凶器はナイフ。だから、やっぱりプロじゃない気がする。それに金だけならプロは人殺しまではしない。指紋は、どうだろ…無いかもな。そのくらいは気をつけるだろ?」
「…どうだか。綺麗に拭き取ればいいくらいに思ってるかもよ。犯人誰もがみんな最後まで完璧とは限らないさ」
「…だな」