貴方が手をつないでくれるなら

「おい、眞壁さんにお前の連絡先、教えるのは無しか」

「なんだ、…まだその話か」

「自分の連絡先を知ってるかも知れないって思ってて、何も連絡されないって、それって寂しくないか?」

お前は…馬鹿か。誰の立場で話をしてるんだ。…お人好しが。

「はぁ、じゃあ…勝手にしろよ。どうせお前はそれを利用して、ちょっと連絡し易くなったつもりなんだろ?…馬鹿じゃないのか?…全く」

「じゃあ教えるからな?あ、拒否設定とかすんなよ?」

全く、…めでたい野郎だ。

「しないよ。するか。そんなのしたらただの悪人じゃないか」

「うっし、今夜にでも知らせておくからな」

「…だから、教えたきゃ勝手にしろって言ってるだろ」



【今晩は。町田の連絡先、教えておきます。勝手にではありません、本人了承済みなので問題ありません。何かあったら連絡してください】

え?どういう事?私のは、どうなったんだろう。

【解りました。何かあったらは、無い方がいい事の事ですよね?】

あー、妙に勘違いさせてしまったな。

【そんな深い意味で言ったつもりはありませんでした。締めの言葉みたいなモノです。今日、町田が戻って来た後で行って見ましたが、もう帰った後のようでしたね】

あ、…え。来てくれたんだ…。

【ごめんなさい。あれから直ぐ兄に帰って来るように言われて帰ってしまったので】

【そうでしたか。急な呼び出しだったんですね】

【時間も過ぎてて、お店が忙しくなったから、助けてくれ~みたいな、帰って来いメールです、笑】

お兄さんが居る。二人兄妹なんだろうか。店をしているんだな。飲食ではないな。昼の忙しい時間に外に出たりしないだろうから。

【会えなくて残念でした。でも会えていたとしても、やはり時間切れで、一瞬しか会えなかったでしょうね】

【今回はそうですね】

【では、おやすみなさい】

【おやすみなさい】

はぁ、あの後で来てたなんて…。運が無かったんだ。一応、町田さんに。

【今晩は、眞壁です。今、柏木さんからアドレスと電話番号を教えて貰いましたので一応ご連絡しました。眞壁日向】

ブー、…、ほらな。こうやって連絡して来てしまうようになるじゃないか…。…ふぅ。

【町田です。丁寧に有難うございます】

これだけでいい。特に、今、話す取っ掛かりを作ってはいけない。
俺は相談役に回されたくはないからな。
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