貴方が手をつないでくれるなら
『休みが出来たら、どこか行きませんか?決まっていないし、完全な約束にもなりませんが』
いきなりこんな事をメールしたらどう思うだろうか。恐いかな…。俺って許して貰ったとは言え、最悪な男の印象なんだし。あー、どうするかな。
そもそも約束しても駄目になる場合もある。その確率の方が高い。
まだ殆どまともに会った内にも入らないのに。送ってみようか。…いや、止めておくか。
ブー、…。
わっ。あ゙…あぁ…送ってしまったじゃないか…。
【お前が教えるから、受け取ったってメールが来たぞ】
町田…、お前のメールの着信にびっくりして、うっかり送っちまっただろうが。
【何だこれ。で?…どこに連れて行ってくれるの?柏木く~ん。送信先は確認しましょうね?ガハハハ、ば~か】
…。はぁ、もう、最っ悪じゃないか。お前の宛先入れてたって事だ。はぁぁ。
【消せ、馬鹿。お前がメールして来るから反動で指が当たったんだ】
【消して欲しい相手に馬鹿は無いだろう。別にもう見たし。なんなら俺から送ってやろうか?】
【馬鹿、止めろ。だから消せって言ってるだろ】
【俺も誤送信だって事にして送っちゃおうかな~】
【町田、テメー、殺す!】
【キャー、恐い~脅迫~、助けて誰か~】
…はぁ、今日はろくな事が無いな。もう無視だ、無視。
【守りに入るなよ。最初の文だけでいいだろ。俺らにドタキャンは付き物だ。ちゃんと送り直せよ。宛先入れ直せ?落ち着いてな。笑】
…ふん。テメーに言われた通りにするのは癪にさわるんだよ。…でも、送るか。行く気があるかどうかだけでも確かめられる。…よし。後の文は無しにしよう。
…あ゙。…くそー、何で…まただ…。
【おい。何回、俺を誘ったら気が済むんだ、コラ。行くか、ボケ】
【誘うか、テメーなんか。間違ったに決まってるだろうが。消せ、馬鹿】
はぁ…もう今日は止めといた方がいいって事かも知れない。またにするか。どうせ、次の休みもまだ当てに出来ない。それにしても最悪だ…。明日町田と顔を会わせたくないな、全く。はぁ。