君愛‐kimiai‐
「鈍いのは変わってねーな。やっぱ柚は柚だな。」



その時やっと空くん、本当の笑顔を見たような気がした。




あたし、ドキドキしてる?



なんで?




そしてあたしからゆっくり離れた。



なんだか寂しく感じた。



「空くん…。」



意味もなくあたしは彼の名前を読んでしまった。


「ん?どうかした?」




「な、なんでもない。」



あたしは慌てて手を振りながら否定した。



「変な柚。あ、変なのはもともとか。」



からかって言う空くん。




あたし…、本当に変だよ。



空くんにドキドキしてる。



でも、ありえないよ。



まだ、会って少ししかだし。



空くんのこと知らないもん。



疲れてるんだよ、あたし。



抱きしめられたら誰だってドキドキするよ。



うん、そうだよ。



ただ、それだけなんだから…。



< 12 / 15 >

この作品をシェア

pagetop