君愛‐kimiai‐
するとその男の子はあたしの腕を引っ張った。



「ちょっと来い。」



はい?




訳の分からないまま男の子に引っ張られ、あたしたちは学校を出た。




知らない風景をどんどん通り過ぎる。



知らないはず…なのに懐かしい?




自分がよく分からない。





「柚、お前本当に俺のこと…分かんねぇの?」




「…ごめんなさい。自分のこともよく分からなくて。」




「そっか…。」





その男の子は悲しい顔をした。



その悲しい顔があたしの胸を痛めた。



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