予言写真
焼却炉
「どうしよう、渉」


鳥居を抜けたところで、あたしは前を歩く渉にそう声をかけた。


「何がだ?」


「愛子は写真を捨てちゃってるよ……」


こんな写真に惑わされちゃいけない。


そう言って愛子は病院のゴミ箱に写真を捨てているのだ。


「あっ……」


思い出したようにそう呟き、渉は立ち止まった。


あれは准一が入院していた時のことだから、ゴミはとっくに回収されていることだろう。


全員分の写真が集まる事は絶対にないんだ。


「病院へ行こう」


「でも……」


「行ってみなきゃわからないだろ!」


渉にそう言われ、あたしたちは病院へと向かう事になったのだった。
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