予言写真
学校で見せてもらった渉の写真はこんなことにはなっていなかったはずだ。


あたしは右上の彰の顔を見た。


彰はあたしたちを見守っているように見える。


でも……彰の視線を追いかけて写真の上を見てみると……そこには地面があった。


緑色の草原だ。


けれど、目をこらして見てみるとそこには無数の人の顔が浮かんでいたのだ。


写真の下半分を埋め尽くすように浮かんだ顔。


そのどれもが苦痛にゆがみ、あたしたちに両手を伸ばして引きずり込もうとしている。


『昔、あそこは墓地だったんだよ』


誰かが言っていた言葉を思い出す。


どこでだって人は死んでるよ。


そう言って聞く耳を持たなかったあたしたち。


手がとても冷たくなり、体の震えが止まらなくなる。


『この写真には守ろうとする者と、悪い者が見える』


神社で聞いた話を思い出す。


そう、この写真には元々2つの霊が写っていたのだ。
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