予言写真
☆☆☆

それから院内にある中庭の休憩スペースに移動して、外の空気を吸い込んだ。


綺麗に手入れされた花壇から花の香りが漂ってくる。


「あの……さ……」


ベンチに座っていると、愛子がおずおずと口を開いた。


「なに?」


あたしは隣の愛子を見る。


愛子は今日あまりしゃべっていないし、ファミレスでも結局1人だけ何も食べないままだった。


「あたし……これを……」


そう言いながら、愛子は学生鞄を開けた。


中には今日勉強するはずだった科目の教科書がちゃんと入れられている。


その中から、愛子は一枚の紙を取り出した。


「それって……」


裏になっていてもわかった。


あれは写真だ。
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