私のメモ

地獄の宴会


あー。眠い。暖かい。眠い……。

春というのは、何故こんなにも眠気を運んできてしまうのだろうか。

マウスを片手に、ボケーっとしていると、「おい、高畑」と、武田さんのトゲトゲしい声が降ってきた。

「ハイ!」

一気に眠気が飛んだ私は、必要以上に元気よく、返事をしてしまう。

「何サボってるんだ」

「サボってません!」

「先月の宿泊客統計データは入力できたのか」

うわ。期限、明日までなのにすっかり忘れてた~……

「まだ、です」

「お前はいつもギリギリだな。早く仕上げろ」

「はーい……」

「まぁ、いい。高畑、今日は18時から2時間、宴会のヘルプだ」

「げ、残業ですか」


いつもこうだ。
ここの部署は暇だと思われがちで、他で欠員がでると真っ先にヘルプに来てくれと、声がかかる。
そして、武田さんはどんなに忙しくてもそれを断らない。

『困ったときはお互い様だ』

とか言う。


「季節外れのインフルエンザで、2人欠員が出ているらしい。俺も仕事を片付けたら行く」

絶対ウソだろ。インフルエンザ。
宴会部、苦手なんだよね。あの、体育会系のノリが。

納得いかないけど、断れるはずもないので「了解です……」と言った。

私も今から季節外れのインフルエンザにかかりたい気持ちで一杯だった。
< 34 / 84 >

この作品をシェア

pagetop