俺のバンドのボーカルは耳が聞こえません
「はっ?なんで歓迎会をするんだよ。てか、馴れ馴れしいな」
俺はその手を必死に振りほどこうとするが、和田は全然離れない。
そんな俺らをじゃれていると勘違いしたのか、今度はイツが反対側から肩にタックルをしてくる。
楽しそうなのは和田とイツだけ……
「ふふっ」
いや、音生もらしい。
音生は駆け足で俺らの方に寄って来る。
俺らは四人で肩を並べてライブハウスを出ていく。
俺の大嫌いだった仲良しそうにじゃれあいながら。
「おい!離れろって言ってんだろ!」
「まあまあ、そんな照れるなってー」
「どこがだよ、くそっ」