俺のバンドのボーカルは耳が聞こえません


こんな理不尽極まりない世界で、まっすぐ生きている態度も、無謀な夢を語る輝く瞳も、俺には痒く感じた。
吐き気がする。

俺は女が持っている紙とペンを半ば強引に奪って、ペンを走らせこう書いた。

『お前なんかじゃ無理だし、俺はバンドなんか組まない』

そしてそれを押し付けると、今度は本当に公園から離れて行った。


変な奴に絡まれた最悪な一日の一つだったと、その時はそれで終わると思っていた。




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