二つの気持ち

一仕事終わった気分だった。


「終わった?」

と、グッと掴まれたままの腕の主は言った。


「あっ、ごめん」

と慌てて腕を離すと、知樹は軽くははっと笑って、背伸びをしながら、先を歩いた。


フワッと潮風が吹く。

風になびく髪を軽く掻き上げて、知樹の背中に叫んだ。



「アタシ、帰るね~」

と言うと、背中を向けたまま、知樹は手を降った。


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