二つの気持ち
仕事明け。
疲れはピークなわけ。
それなのに、待ち合わせのbarで、井上は怒り任せに怒鳴るは、アタシは冷静に井上を交わすはで、なんだか陰湿なムード。
極め付けは、
「気分悪いわ…」
とボヤいたアタシに、井上は捨て台詞をぶつけ、出て行った。
ふぅー…
再びため息を吐いて、目の前のカクテルグラスを開けた。
カラン…
氷とグラスが、心地良い音を立てた。
追加を注文しようとグラスを軽く持ち上げると、
「何飲む?」
と笑顔で見知らぬ男が話し掛けてきた。
この、笑顔が素敵な青年…
知樹との出会い。