二つの気持ち

仕事明け。

疲れはピークなわけ。

それなのに、待ち合わせのbarで、井上は怒り任せに怒鳴るは、アタシは冷静に井上を交わすはで、なんだか陰湿なムード。

極め付けは、
「気分悪いわ…」
とボヤいたアタシに、井上は捨て台詞をぶつけ、出て行った。


ふぅー…

再びため息を吐いて、目の前のカクテルグラスを開けた。


カラン…

氷とグラスが、心地良い音を立てた。

追加を注文しようとグラスを軽く持ち上げると、

「何飲む?」

と笑顔で見知らぬ男が話し掛けてきた。



この、笑顔が素敵な青年…

知樹との出会い。


< 3 / 33 >

この作品をシェア

pagetop