修羅場の色
 成田空港、沙織さんと子供達の旅立つ日だ……


 私は空港まで見送りに来た。

 沙織さんはやはり人気者で、大勢の下請け会社の人達がわざわざ見送りに来ていた。

 彼女の真っ直ぐな心の中が見えるような笑顔に、私は凄い人だと改めて思う。


「美優さん、わざわざありがとう」


「大勢の人ですね。芸能人の見送りみたい」


「まあ」


「沙織さん、本当に素敵な人ですね。こんなに大勢の人から慕われて、信頼されて…… 私も沙織さん好きです。私達の関係って普通じゃないですよね?」


「そうかもしれないわね…… 多分、あの人を選んだ時点で普通じゃなかったのよ」


 彼女と私は目を合わせて笑った。


「私、沙織さんと友達でいちゃダメですか?」

 私はポロポロと涙が毀れてしまった。


「泣かないでよ。もう、とっくに友達よ」

 彼女の言葉に、私は彼女の首に抱きついた。


「ありがとうございます」


「美優さんも元気で! ハワイに遊びに来てね」


「勿論、行きます!」


「美優さん、今度はちゃんとした男を見つけなさいよ!」


「沙織さんも!」


 彼女は大きく手を振ると、子供達の手を繋ぎ笑顔いっぱいで出国口へと向かって行った。


 私も、これから面接試験だ!

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