年下なんて、だいっきらい!
桜の花びらがアスファルトに舞い散る。
この季節になると、新しい社会人たちが群れをなして会社という箱に夢を希望を抱いて入社してくる。
瞳を輝かせながら、毎年のことだ。
そして1か月もすると「こんなつもりじゃなかった」と辞めていくやつが約3割。
それは化粧品会社でも例外ではなく、「今年は何人残るんだろうね」と桜の花びらが散っていくのを見ると数少ない同期達と話し合うのもおなじみだ。
神山百合(こうやま ゆり)。
27歳。
独身。
牡羊座。
アラサーに片足を突っ込んでしまっている。
4月生まれだとこういう時に不利だ。
憧れの化粧品会社に入社してから早4年、仕事に没頭し過ぎたせいで早くもチーフという役割を担っている。
同期の中では一番の出世頭だ。
営業職の男達と比較しても遅い方ではない。
百合の勤める化粧品会社「ラ・ジュエルメイド」は、フランスから進出してきた外資系の会社だ。
なので年収も年俸制。
店舗スタッフの女の子たちは、結果が全てという激しい競争の中で必死に戦い毎日を過ごしている。
百合もその中の一人だ。