年下なんて、だいっきらい!
「では本日もどうぞよろしくお願いします」
店舗スタッフの女の子達が挨拶をする。
その間に、百合は在庫のチェックや売上を確認した。
「宮脇(みやわき)さん。ちょっと」
店長の女の子を呼んで、質問をする。
なぜ、こんなに売れているのに利益が出ていないのだろうか。
「あの……それは」
口ごもる彼女に百合は書類を突き出し、言い放った。
「人件費使い過ぎよ。シフト調整も出来てないし、新色の口紅も売り切れていない。ディスプレイの配置も本当に人が通るところに置いていると思える?」
「……えっと」
「ここで働いている女の子達がこの会社はブラック企業だと思うかどうかは、店長であるあなたの采配にかかっているのよ。この時代にこんなルーズな運営していてどうするの?」
間違ったことは言っていない。
それなのに、何故こんなに恨みがましい目でこちらを見てくるのだろうか。
「とにかく、しっかりしてちょうだい。あなたの代わりなんかいくらでもいるんだから」
「うわぁ。こえー」
店の奥から出てきたのは、「研修生:西 優人(にし ゆうと)」と記載されたバッチを胸につけている男の子だった。
「何?」
「いや、なんでもないです。申し訳ありません」
肩をすくめて彼は言った。
新人の癖に、何も知らないくせに。
売上があがらなければ、会社は何もできなくなる。
そんなことも分からずに、適当な運営をしている奴が泣きそうだからそっちを庇うのか。
だから何も知らない新人は嫌いなのだ。
「言いたいことがあるなら、その場でハッキリ言ってちょうだい。聞くわよ」