追いかけて、1mm


チャイムが鳴り響き、やっと人集りがなくなった自分の席に座る。毎日こんなんだと思うと少し憂鬱な気分になった。

憂鬱な気分の原因の1人、桜井怜央を眺める。猫のように柔らかそうな黒髪。やっぱり男の子なんだなあと感じる大きな背中。どんな表情してるかは後ろからじゃ想像つかないけど、何考えてるのかなあ。

先生の長話を聞きながら、桜井くんの観察をする私。すると、その大きな背中の桜井くんが振り返って私の方を見る。



「佐藤さん?」



私の名前を呼ぶ彼。急な展開に驚きつつ周りの女の子の視線が痛いので、「そうですけど」何て無愛想な返事をする。ごめん、桜井くん。


彼は特に用事があったわけでもないらしく、「1年間よろしくね。」と私に告げて笑いかけると、前を向いて先生の話を聞いていた。何がしたかったのかなあ。


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