名前で呼べよ。〜幼なじみに恋をして〜【番外編】
「美里、今日の帰り、家に寄ってく? 最新巻買ったけど」
オレンジ色の帰り道、そうちゃんがちらりとこちらを見遣った。
「えっ」
振り仰ぐと、得意そうな表情が見える。
「ちなみに俺はもう読んだ。すげえよかった。絶対美里も好きだから早く読め、ほんと早く読め」
「えっ、そんなに」
「そんなに。ほんとに。なんなら俺のベット貸すし寝転がって占領してもいいから早く読んで」
……そんなに勧められたら。
気になっている漫画だし、珍しくぐだぐだしながら読んでいいという許可が出ているし、満足そうにキラキラしたそうちゃんの目に、わたしは即決した。
「分かった借りるお邪魔する」
「ん」
照れ隠しだろうか。
まあ別に、美里は邪魔じゃないけどな、なんておどけて優しく笑うそうちゃんに、慣用句でしょ、とわたしも笑った。
ええと、家に連絡入れるでしょ、おばさんに挨拶するでしょ。
階段を上がって、部屋に入って。
最新巻はどこだろう。
そうちゃんのことだから、多分勉強机の上だ。見やすい位置。
そうちゃんととりとめもない軽口を言い合いながら、わたしの頭の中では、通い慣れた部屋の間取りでまずは何をするか、とっくに予定が立っていた。
オレンジ色の帰り道、そうちゃんがちらりとこちらを見遣った。
「えっ」
振り仰ぐと、得意そうな表情が見える。
「ちなみに俺はもう読んだ。すげえよかった。絶対美里も好きだから早く読め、ほんと早く読め」
「えっ、そんなに」
「そんなに。ほんとに。なんなら俺のベット貸すし寝転がって占領してもいいから早く読んで」
……そんなに勧められたら。
気になっている漫画だし、珍しくぐだぐだしながら読んでいいという許可が出ているし、満足そうにキラキラしたそうちゃんの目に、わたしは即決した。
「分かった借りるお邪魔する」
「ん」
照れ隠しだろうか。
まあ別に、美里は邪魔じゃないけどな、なんておどけて優しく笑うそうちゃんに、慣用句でしょ、とわたしも笑った。
ええと、家に連絡入れるでしょ、おばさんに挨拶するでしょ。
階段を上がって、部屋に入って。
最新巻はどこだろう。
そうちゃんのことだから、多分勉強机の上だ。見やすい位置。
そうちゃんととりとめもない軽口を言い合いながら、わたしの頭の中では、通い慣れた部屋の間取りでまずは何をするか、とっくに予定が立っていた。