名前で呼べよ。〜幼なじみに恋をして〜【番外編】
「みい、行こう」
「うん」
教室に顔を出したそうちゃんに、いつものように鞄を持って駆け寄る。
帰り道、とりとめもないことを話しながら隣を歩いていると、少し強い風が何度か過ぎた。
ばっさばっさ髪がひらめくのに顔を伏せる。
風がおさまって、ぼさぼさなわたしの髪を見たそうちゃんが少し笑った。
「みい、髪ひどい。やばい。ぼさぼさ……!」
くつくつ、軽やかに喉が鳴る。
「分かってますー」
自然現象なんだから仕方ないじゃないか。噴き出すなんてひどい。
むくれるわたしにごめんごめん、と謝ったそうちゃんが、さらりと手を伸ばして直してくれた。
「ありがとう。大丈夫? 直った?」
「ん、直った。大丈夫大丈夫」
「……ほんとに?」
ちょっと心配になって、わたしも髪をとかすと。
「大丈夫だって。かわいいって」
「っ」
さらっと言ったそうちゃんに撃沈する。
だからもう、この幼なじみは、ほんとに。ほんとに。
赤い顔をうつむけて、ありがと、と呟くのが精一杯だった。
「うん」
教室に顔を出したそうちゃんに、いつものように鞄を持って駆け寄る。
帰り道、とりとめもないことを話しながら隣を歩いていると、少し強い風が何度か過ぎた。
ばっさばっさ髪がひらめくのに顔を伏せる。
風がおさまって、ぼさぼさなわたしの髪を見たそうちゃんが少し笑った。
「みい、髪ひどい。やばい。ぼさぼさ……!」
くつくつ、軽やかに喉が鳴る。
「分かってますー」
自然現象なんだから仕方ないじゃないか。噴き出すなんてひどい。
むくれるわたしにごめんごめん、と謝ったそうちゃんが、さらりと手を伸ばして直してくれた。
「ありがとう。大丈夫? 直った?」
「ん、直った。大丈夫大丈夫」
「……ほんとに?」
ちょっと心配になって、わたしも髪をとかすと。
「大丈夫だって。かわいいって」
「っ」
さらっと言ったそうちゃんに撃沈する。
だからもう、この幼なじみは、ほんとに。ほんとに。
赤い顔をうつむけて、ありがと、と呟くのが精一杯だった。