名前で呼べよ。〜幼なじみに恋をして〜【番外編】
「離してよ。寒いよ」

「やだ」

「寒いんだってば」

「やだ。俺はもっと寒い」

「ホッカイロ持ってるから、ホッカイロさんにあっためてもらうとかどう?」

「やだ」


わたしのせっかくの提案も、ばっさり。ばっさりである。


絶対にわたしよりホッカイロさんの方があったかいし、熱も持続するし、いいと思うんだけどな。


えー、と握られた手をポケットの中で揺らすと、逃さない、と言うみたいにしっかり繋ぎ直される。


……別に、逃げないよ。

困ってはいるけど。


「みい」

「ん?」


弱り果てたわたしを、そうっと呼んで。


「俺はみいがいいの」


前を見つめたままで、そうちゃんが言った。
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