名前で呼べよ。〜幼なじみに恋をして〜【番外編】
『あ、そうなの?』
『ん。いる』
頷いたそうちゃんは、ひどく優しく笑ってみせた。
一目で分かる、優しい微笑みだった。
『その人からのチョコなら食べるけど、他の人からのチョコは別にいらない』
『あーくそごちそうさま!!』
『は? ごちそうさま? ……は?』
もうそれ以上聞きたくなくて、きつく裾を握りしめてその場から走り去った。
……そうちゃんに好きな人がいるなんて知らなかった。
いるかもしれないなんて、考えないようにしてきた。
やっぱりわたしたちはただの幼なじみで。
……幼なじみでしか、ないんだ。
分かっている。
分かっているけど、ときどき無意識に忘れたがって、本当に無意識に忘れてしまうその事実を、こうやってふとしたときに突きつけられて、泣きたいくらいにつらくなる。
その日わたしは初めて、苦しいのはそうちゃんが好きだから、という言い訳をした。
『ん。いる』
頷いたそうちゃんは、ひどく優しく笑ってみせた。
一目で分かる、優しい微笑みだった。
『その人からのチョコなら食べるけど、他の人からのチョコは別にいらない』
『あーくそごちそうさま!!』
『は? ごちそうさま? ……は?』
もうそれ以上聞きたくなくて、きつく裾を握りしめてその場から走り去った。
……そうちゃんに好きな人がいるなんて知らなかった。
いるかもしれないなんて、考えないようにしてきた。
やっぱりわたしたちはただの幼なじみで。
……幼なじみでしか、ないんだ。
分かっている。
分かっているけど、ときどき無意識に忘れたがって、本当に無意識に忘れてしまうその事実を、こうやってふとしたときに突きつけられて、泣きたいくらいにつらくなる。
その日わたしは初めて、苦しいのはそうちゃんが好きだから、という言い訳をした。