名前で呼べよ。〜幼なじみに恋をして〜【番外編】
わたしたちはやっぱり幼なじみで。

それ以上でもそれ以下でもなくて。

幼なじみだからといって、お互いの何もかもを知っているわけでもなくて。


そんなわけ、ないのに——


「みいは? 何かないの」

「うーん、別に何にもないよ。小さい頃好きだったものは今も好きだし、相変わらずキムチは苦手だし、全然変わってないよ」


——わたしが、何も変わらないから。


もしかしたら何か変わったのかもしれないけど、そんな自覚は全然ないから。


だから、そうちゃんも変わらない気がしていた。

何か変わるのかもなんて、想像もしなかったのだ。


……ああ。


やっぱりこれは、切なさなのかもしれない。


黙り込んだわたしに、ぽつりと小さな呟きが落ちる。


「……変わったよ」

「え?」

「みいも変わったよ。可愛くなった」

「っ」


そうちゃんは前を見ていた。


横顔はいつもの通り淡々として、オレンジ色に染まっている。


「あと身長伸びたし、あんまり転ばなくなったし、前髪も変わったし」

「…………うん」


せっかく可愛いって言ってくれて嬉しかったのに、続けざまに身長とか転ばないとか前髪とかを言われて、ちょっとがっくりする。


でも、そっか。
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