名前で呼べよ。〜幼なじみに恋をして〜【番外編】
「そうちゃん!」

「おかえり、みいちゃん。どうだった?」

「いいって!」

「お」


やった、やったね、と二人で笑い合う。


お泊まりは幼稚園の頃はよくお互いにしていた。久しぶりのお泊まりだ。


漫画を心ゆくまで読み、おばさんがにこにこしながら作ってくれたご飯を食べ、おじさんにわしゃわしゃ髪をなでられ、パジャマはそうちゃんのを借りた。


そうちゃん家の柔軟剤の匂いがする。

優しいお花の匂い。


お布団を出してもらって、そうちゃんは自分のベッドに、わたしは近くに敷いた布団に潜り込んだ。


「そうちゃんそうちゃん」

「ん?」

「明日は一緒に学校行こ」


まだ全然眠くないので、明かりはつけている。


とりあえずお泊まり気分に浸りたくて潜り込んだだけ。


だから、そうちゃんの顔がよく見えた。


馬鹿だなあ、って言うみたいな、優しい苦笑。


「いつも一緒に行ってるじゃんか」

「そうだけど。気が変わったら大変だから、約束しておこうかと思って」

「約束しなくても一緒に行くよ。いつもそうだろ」

「……うん。そうだね」


変なの、と笑うそうちゃんに、わたしも笑い返したけど、うまく笑えていたかは分からない。
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