名前で呼べよ。〜幼なじみに恋をして〜【番外編】
たくさん他愛もない話をして、そろそろ寝ようかという段になって。


こちらを心配そうに見遣るそうちゃんに聞かれた。


「電気消しても大丈夫?」

「大丈夫じゃないです……」


即答する。


暗いのは怖い。


自分一人で寝るときは、明かりをつけたまま布団をかぶって寝ている。


でもそうちゃんは明かりがついていると寝られないタチで、少し薄暗いのが好きだ。


「ごめん……」

「いーえ」


そうちゃんが優しく笑った。


「じゃあ手貸すから、電気少し暗くしてもいい? ごめん、それで大丈夫?」

「……うん」


幼稚園の頃お泊まりしていたときは、いつも手を貸してもらった。


ぎゅうっとそうちゃんの手を握りしめて寝れば怖くなくて、薄暗い部屋でもちゃんと眠れた。


まさか、中学生になってもまだ手を貸してもらえるとは思わなかったけど。


こんなにぎくしゃくし始めているのに、いいんだ。手、貸してくれるんだ。


新鮮な驚きが浮かぶ。


ごめんとさりげなく気遣ってくれるのもそうちゃんらしい。
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