名前で呼べよ。〜幼なじみに恋をして〜【番外編】
「でも手、遠いよ」


おそるおそる言ってみる。


そうちゃんはベッド。

わたしはお布団。


高低差もあるし、距離も遠いし、全然借りられないんじゃないかなあ。


届かないよね。どうしよう、と焦っていると、そうちゃんがきょとんと提案した。


「俺のぶんも布団持ってくるけど」

「……分かった」


そっか、二人で布団をくっつければいいのか。


小さい頃は二人で一緒の布団に寝ていたから手を借りられたんだけど、今回はどうするのかなあって心配してしまった。


焦ったわたしはよほど変な顔をしていたんだろう。


安心させるみたいに、そうちゃんが微笑む。


「お泊まりする? って言っておいて、みいちゃんに無理させたりしないよ。そしたら俺すごい意地悪じゃん。ちゃんと手貸すつもりだったよ」

「っ」


いらないって言われたら貸さないつもりだったけど、と続けたそうちゃんに、ああ、と思った。
< 48 / 62 >

この作品をシェア

pagetop