名前で呼べよ。〜幼なじみに恋をして〜【番外編】
「えっ」
照れと不機嫌さをにじませて、そうちゃんが焦れたように手を伸ばした。
ぐい、と引かれて手を握られる。
熱い体温を隠す間もなかった。
「…………熱い」
「っ」
嗄れた声でそう呟いたのに、そうちゃんは手を離してくれない。
そうちゃんも熱いよ、とは、言えなくて。
イヤホンをいじりながらきつく腰に手を引きつけて、わたしが離れられないようにしてしまう。
至近距離に思わず逃げた肩は、大きく跳ねながらそうちゃんに近づくことになった。
「離れちゃ駄目です」
「……はい」
分かってる。イヤホンがとれるからだって、分かってる。
分かってるけど、でもこれは、……ちょっと、かなり、ずるい。
揃う足音と、高鳴る心音と、静かに流れる音楽を聞きながら。
触れる肩を気にして、手の熱を気にして。
ちらり、そうちゃんの横顔を仰ぎ見る。
見慣れた大好きなオレンジ色の横顔。
けれど今は、その耳が一面赤かった。
……明日は、わたしがイヤホンしようかな。
そんなことを考えるわたしの耳も、意識するまでもなく、きっと同じくらいに赤かった。
照れと不機嫌さをにじませて、そうちゃんが焦れたように手を伸ばした。
ぐい、と引かれて手を握られる。
熱い体温を隠す間もなかった。
「…………熱い」
「っ」
嗄れた声でそう呟いたのに、そうちゃんは手を離してくれない。
そうちゃんも熱いよ、とは、言えなくて。
イヤホンをいじりながらきつく腰に手を引きつけて、わたしが離れられないようにしてしまう。
至近距離に思わず逃げた肩は、大きく跳ねながらそうちゃんに近づくことになった。
「離れちゃ駄目です」
「……はい」
分かってる。イヤホンがとれるからだって、分かってる。
分かってるけど、でもこれは、……ちょっと、かなり、ずるい。
揃う足音と、高鳴る心音と、静かに流れる音楽を聞きながら。
触れる肩を気にして、手の熱を気にして。
ちらり、そうちゃんの横顔を仰ぎ見る。
見慣れた大好きなオレンジ色の横顔。
けれど今は、その耳が一面赤かった。
……明日は、わたしがイヤホンしようかな。
そんなことを考えるわたしの耳も、意識するまでもなく、きっと同じくらいに赤かった。