【短】君と桜色のキス
階段を降りれば昇降口が目の前。みんな楽しそうに話しながら、靴を履き替えていた。
さっきまで人気者だったのに、翼が帰った途端にわたしは1人。やっぱり翼がいなければ、何も出来ないんだ。
「なあ、歩美」
「え、翼……帰ったんじゃ……っ」
後ろから話しかけられてびっくりした。まさか、今考えていた幼なじみが目の前にいるとは思わなくて。
「なに泣きそうになってんの」
「泣いてないし」
「一緒に帰ればよかっただろ。友達と!」
「……違うよ」