【短】君と桜色のキス



 友達じゃない。
 わたしは何も出来なかった。わたしは自分の力で友達を作れなかったんだよ。



 不器用だから、翼みたいに上手くいかないんだよ。




「なんだよ、チャンスだったのにさ」


「……うるさい」


「歩美は絶対いい友達が……」


「うるさいっ!!」




 わたしの声が昇降口に響いて、その場にいた人たちが振り返る。
 翼も驚いて一瞬口を噤む。



 翼は何もわかってない。翼は1人でも上手くやっていける。



 わたしとは違う。



 足でまといなんて嫌だ。
 もう、いい加減に離れてよ。
 わたしの前からいなくなってよ。


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